チャック・フィンドレーのクリニック&ライブを聴いてきました。

トランペット関連情報

スポンサードリンク

チャック・フィンドレー クリニック&ライブ レポート

2009年11月25日(水)管楽器専門店ダクのイベント会場「スペースDo」で、アメリカを代表するスタジオ系トランペッター、チャック・フィンドレー(Chuck Findley)氏によるクリニック&ライブが行われました。
またとないチャンスを逃すまいと、仕事を休んで(!)行ってきました。
第1部にクリニック、第2部には井上祐一(Pf)トリオにチャック・フィンドレーが加わったカルテットでのライブという贅沢なプログラムでした。
会場にはたくさんのお客さんが集まり、ほぼ満席状態。そんな中、よく見慣れた国内の第一線で活躍されているジャズ・トランペッターの方々もたくさんいらしており、チャック・フィンドレーの注目度の高さがうかがえる。
世界的に見ても間違いなくトップクラスのトランペッター、チャック・フィンドレーの貴重なクリニックということで、今回の内容を簡単にまとめ、報告いたします。


チャック・フィンドレー(Chuck Findley)プロフィール◆
1947年ペンシルバニア州ジョンズタウン生まれ。4歳でトランペット、11歳でトロンボーンを始める。高校卒業後、クリーブランド音楽大学に奨学生として入学。バーナード・エーデルスタインらに師事。
リー・キャッスルの率いるジミー・ドーズィ・ビッグバンドに参加する。のちにチャックはバディ・リッチ・バンドに加入し、アジア、ヨーロッパ、アメリカで公演する。1969以降はロサンゼルスに居を構え、ここから彼の輝かしいスタジオ・ミュージシャン生活が始まる。
ベニー・グッドマン、ボビー・シュー、マイルス・デイビス、フランク・シナトラ、バーバラ・ストライザンド、ダイアナ・ロス、ナタリー・コール、アース・ウィンド&ファイア、ローリング・ストーンズ、マドンナ、プリンス、マイケル・ジャクソンなど、ビッグ・アーティストのレコーディングに数多く参加している。
ロサンゼルスでのスタジオワークに加えて、海外公演も多数行ない、ジャズフェスティバル出演、クリニック、アルバム制作など精力的に活動している。
チャック・フィンドレー(Chuck Findley)
〜プログラムより引用〜


テーマは「ウォームアップ」

ラフなスタイルで登場したチャック・フィンドレー、そしてインタビュアーと通訳の2人もステージにあがりクリニックが始まった。
まず、「今回のクリニックのテーマはウォームアップのやり方です。」と話された。
「トランペット奏者は毎日調子が変わる。毎日、朝起きて調子の良い日もあれば悪い日もある。これを今回紹介する3種類のウォームアップを毎日行うことで、調子を整えている。」とチャックは話す。
これほどの一流プレイヤーでも調子が悪い日もあるんだと安心した人も多いのではないだろうか。
そしてその3種類のウォームアップの方法を、1つずつホワイトボードに譜面を書き、実際に吹いてくれながら解説してくれた。

1.調子を整える

まず最初にやるのが下の譜面。
使うのは6つの音だけ。五線内の「ソ」から始まり、1つの音を「TA」「DU」「FU」の3種類のタンギングで吹き、半音ずつ上がっていき「ド」まで行ったら終わり。
音量はmp程度の楽な音量、テンポは四分音符=90〜100程度で吹いていた。


チャック・フィンドレー(Chuck Findley)クリニック譜面(1)

このエクササイズは、その日、一日が調子良くなるためのものだという。唇がよく振動していることが感じられるまで繰り返すようにと言われた。
そして、「唇の振動を感じとることが大切で、音色は気にしなくてよい。」ということを何度も念を押して言っていた。


<このエクササイズのポイント>
■音色は気にしない
唇の振動を感じとることを意識し、音色は気にしなくてよい。


■タンギング
「TA」「DU」「FU」の3種類のタンギングを使うこと。この3種類のタンギングを使う理由は、「実際の曲を演奏する際、この3種類のタンギングを使うからだです。」と説明された。
「FU」というタンギングは聞き慣れないが、彼が実際に吹いているところを聴いてみると、タンギングというよりも、その音の出だしで改めて息を吹きなおしているように感じられた。


■鼻からブレス
このエクササイズの途中でマウスピースを口から離してはいけない。ブレスをとる際に、必ず鼻から息を吸うこと。


■息の流れは一定に
音の出だしから休符まで、音を出しているときは息の流れを一定に保つこと。タンギングをするときも息の流れを妨げることのないように注意すること。



2.ハーモニクス

次に紹介されたエクササイズは、彼は「ハーモニクス」と呼んでいた。
やり方は、下の譜面のようにタンギングは最初だけで、そのあとはリップスラーで音を変えていく。そして同じ音形を半音ずつ下げていき7パターン吹いて終了。


チャック・フィンドレー(Chuck Findley)クリニック譜面(2)

チャックの説明の中で、「唇が十分に振動していると、スラーでも音が移り変わるときにタンギングをしているように聴こえる。」と言っていた。
そして、吹いているときは息の流れは常に一定で、音を切り替えるときはアパチュアの大きさを変えるようにと言われた。


<このエクササイズのポイント>
■鼻からブレス
このエクササイズの途中でマウスピースを口から離してはいけない。ブレスをとる際に、必ず鼻から息を吸うこと。


■息の流れは一定に
音を出しているときは息の流れを一定に保つこと。音を切り替える際はアパチュアの大きさを変える。
これらに関しては音量が大きくても小さくても同じである。



3.高音域まで音を出す

最後のエクササイズは、自分の出せる限界の高音まで吹いていき、その日どんな曲でも要求された曲が吹けるように準備するためのもの。また、今よりもさらに音域を拡げるための練習にもなると言う。
吹く内容は、下の譜面のように簡単なもの。


チャック・フィンドレー(Chuck Findley)クリニック譜面(3)

このように、Cメジャーのダイアトニックで五線内の「ソ」から順に限界まで上がっていく。
自分の出せる最高音まで上がっていき、音が出なくなったら(唇が振動しなくなったら)一度終わりにする。そして一休みした後、終わりにした音から再スタートする。
注意点は、最高音に達した際、いつ唇の振動が止まって空気の音だけになったとしても、そのまま「スラーでくくられた1フレーズ内」は吹ききること。これは、唇の振動が止まり、空気の音だけになってもそのまま吹き続けるということを続けていくことで、いつかその部分(空気音だけになってしまう音域)でも振動してくれるようになり、それはつまり音域が拡がったということだと説明された。
そして実際にチャックが吹いてみせてくれた。
譜面のとおり「ソ」からスタートし、どんどん高音域にいく。そしてダブルハイCを少し超えたあたりで空気の音だけになり、そのまま1フレーズ吹ききってから一度やめた。そして一休みし、ダブルハイCから再スタート。2〜3音上がったところで唇の振動が止まり、その1フレーズを吹ききってから終了した。
顔の筋肉や口の周りの筋肉が疲れたら、このエクササイズは終了とのこと。
彼は、このエクササイズをmpからmfぐらいの音量、テンポは四分音符=90〜100程度で吹いていた。
ちなみにダブルハイC付近の高音域の運指は、その1オクターブ下の指使いと同じに押していた。


<このエクササイズのポイント>
■鼻からブレス
このエクササイズの途中でマウスピースを口から離してはいけない。ブレスをとる際に、必ず鼻から息を吸うこと。


■息の流れは一定に
音を出しているときは息の流れを一定に保つこと。これは音量が大きくても小さくても同じである。



チャック・フィンドレーは、これらの3つのウォームアップを毎日行っているとのこと。これをやっておけば、突然どんな内容の仕事が来ても大丈夫なんだと笑顔で話していた。
そして最後に付け加えたのが「ウォームダウン」の話。
練習や本番でも、その日の締めくくりとしてなるべくウォームダウンをやることをすすめられた。
吹く内容は具体的に紹介されなかったが、ウォームダウンをやることで、翌日の調子が変わると言っていた。



Q&A

クリニックでは、いくつかの質問に答えてくれていたので下にまとめてみました。


Q:「チャックさんはスタジオの仕事を多くされてますが、そこで重要になってくる初見演奏についてコツなどあれば教えてください。」
A:「コツなどはありません、練習するのみです。練習方法は、いろんな曲を次から次へ吹いていくこと。曲の途中でミスしても、そこをもう一度吹きなおしたりせず、どんどん次の曲へ進んでいくことです。」


Q:「曲の途中でハーマンミュートを付けるときに、チューニングスライドを抜く時間が無いときなどはどうしてますか?」
A:「チューニングスライドを抜く時間がないときは仕方がないのでそのまま演奏します。速い曲などではあまり気にしなくても大丈夫です。しかし、スローな曲などの場合には、演奏中に左手で抜くこともあります。また、他のメンバーが抜いているのに自分だけ抜かないとカッコ悪いので、やはり演奏中に抜くようにしてます。(笑)」


Q:「チャック・フィンドレーさんが過去に使ってきた教本を教えてください。」
A:「若い頃は、クラークのテクニカル・スタディ、それからアーバンです。テクニカル・スタディは、指の動きが良くなります。」(と言って、ドレミドレミファレミファソミドレミド・・・とお馴染みのフレーズを吹き、)「これをこの教本に書かれているとおり、すべてのキーで練習を続けていけば、動きづらい薬指もよく動くようになります。アーバンは、トランペットの演奏に必要なことがすべて書かれているのでぜひやってください。」


Technical Studies for the Cornet
Technical Studies for the Cornet
チャック・フィンドレーも使っていたというクラークの「テクニカル・スタディ」。
ほとんどのトランペッターが使ってきたトランペット教本の定番。
ISM (トランペット) アーバン金管教則本 (ISM Collection International S)
ISM (トランペット) アーバン金管教則本 (ISM Collection International S)
チャック・フィンドレーが「必要なことがすべて書かれている」と言っていたアーバン。
これも昔から定番です。


質問にすべて答え終わって、インタビュアーから「最後に皆さんに一言メッセージをお願いします。」と言うと、チャックは「練習してください。」と言って、「上手くなるにはとにかくたくさん練習することです。しかし、休憩をとることも必要です。」と話された。
さらに、「私はたまに、トランペットを押入れにしまって、トランペットのことを忘れる日もつくります。」と言った。これはたくさん練習をしてきた人だからこその話かもしれない。


これで第1部のクリニックが終わり、休憩を挟み、第2部のライブが始まる。
ライブでは、ピアノトリオとの共演。
ピアノトリオのメンバーは、
井上祐一(Pf)
楠井五月(B)
正清泉(Ds)


演奏曲目は、私の耳が確かなら以下のとおり。
1.I'll Remember April (Tp)
2.Joy Spring (Tp)
3.Estate (Flh)
4.Softly, As In A Morning Sunrise (Tp)
5.Shadow Of Your Smile (Flh)
6.The Song Is You (Flh)
〜アンコール〜
Straight No Chaser (Tp)


チャック・フィンドレーのプレイはパワフル、メロディック、そしてムーディーと、本当に表現力の幅が広い。
そして今回のユニットの特筆すべき点は、井上祐一トリオ。上記のようなスタンダードで見事なインタープレイを見せてくれた。単に今回の主役、チャック・フィンドレーのバックバンドではなく、時にはチャックを挑発するかのようなリハーモナイズされたエキサイティングな展開になり、それがまた心地よさそうにチャックがハイレベルなプレイで応える。
私の文章力では到底このすばらしさを伝えることができないのでこの辺で終わりにするが、とにかくすばらしいライブとなった。



会場ではチャック・フィンドレーの新しいCDが枚数限定で販売されていました。
今のところ国内ではなかなか手に入らないとのことだったので迷わず買いました。


チャック・フィンドレー(Chuck Findley)「STAR EYES」 CHUCK FINDLEY "STAR EYES"
1.The Surrey with the Fringe on Top
2.Just a Tad
3.Being Green
4.Star Eyes
5.You are too Beautiful
6.What is This Thing Called Love
7.I Love You
8.The Best Thing For You
9.Heavens Sake
10.Street of Dreams

チャック・フィンドレーのHPのトップページで、このCDのタイトル曲「STAR EYES」がフルコーラス流れます。
(トップページ上部の曲名をクリックすれば他の曲も数曲サンプルを聴くことができます。)



スポンサードリンク



トランペット 吹き方 トランペット情報ネット HOMEへ

広告


スポンサードリンク

Copyright (C) 2009-2010, トランペット情報ネット All Rights Reserved.